ふしぎなはきだめ

ふしぎな場所だよ

実写版ジョジョ4部を観てきたので感想文書きます。

 実写版ジョジョ4部を観てきたので感想文書きます。

 まずこれ、キメラすぎるというのが最初の感想。
 スペインを舞台にした美しい地中海の街並みと、おもっくそ日本風な通行人や看板。そしてコスプレまがいの風体をした主要人物たちと、設定説明もそこそこにおっぱじまる異能力バトル。
 貶してるように聞こえるかも知れないけど、違うんですよ。あまりのチグハグさに最初は面食らってたんですが、そのうちに慣れてくるというか。『もしかしてこれってすごく芸術的で高度な画面作りなのでは……?』と自分の気持ちがわからなくなってくるんですよ。
 しかもそのくせ、物語の構成自体はしっかり作られてるんです。父殺しを自慢するアンジェロと父親に愛憎を抱く形兆、そして父親不在ながら親子三代幸せに暮らす東方家がきちんと対比されている。それに背景の街並みそのものは綺麗だから画面は常に華やかです。
 そしてさらに困ったことにはこの作品、全っ然ジョジョっぽくないんですよ。この場合の『ジョジョっぽい』という言葉を正確に言語化するのはだいぶ難しいのですが、あえていうなら色使いとか台詞の抑揚とかそんな所でしょうか。
『元々はジョジョの実写版として企画されたけど版権の都合で一度ポシャった後にそのまま製作されたジョジョに似た作品』って言われても信じるかも知れない。原作のジョジョとあまりにかけ離れているので、どう受け止めていいかわからなくなりました。
 私は矮小な人間なので、あまりに理解の範疇を超えられると拒絶してしまうんです。だからなおさら誉めればいいのか貶せばいいのか分からない。この感想文を書くにあたって、私がジョジョオタである事が足枷にしかなっていない事を残念に思います。

 しかし、「原作未読者に勧められるか?」と聞かれれば、今度は説明不足っぷりが足を引っ張ってきます。仗助が異能力者であるという前振りがうまく機能しておらず、原作を知っている自分でも強烈な『置いてけぼり感』を感じてしまいました。でもこれ、「説明不足なのも含めてこの奇妙な世界観を構築しているのでは?」とこの置いてけぼり感を好意的に受け止める人がいてもおかしくないさじ加減なんだよなぁ。だからなおさら評価が難しい。
 初見の人は「仗助って時間を巻き戻せるの?」とか「スタンドって一般人にもある程度は見えるの?」とかモヤモヤした疑問や誤解が残るのではないかといらぬ心配をしてしまいました。

(そういえばポケモン映画も、なまじ私がアニポケ直撃世代なだけに評価を下せずにいるんだよな。友人にどうだった? と聞かれて真っ先に「微妙……」と答えてしまった後悔が頭をよぎりました。具体的にいうとポケモンノソンザイシナイゲンダイニホンデセイカツスルサトシとかピカチュウガシャベルとか)

 でも、バッドカンパニー戦はそんな複雑な想いも吹き飛ばすくらいに手放しで誉められます。とにかく見所が多く迫力があって、映画館で観られて良かったです。スタープラチナとかの人型スタンドやアクアネックレスのCGが軒並みショボかったので、良い意味で裏切られました。あと虹村形兆というキャラクターにここまで焦点を当てられたメディアはおそらく初めてなので、そういう意味でも「シブイねェ……まったくおたくシブイぜ」とニヤリとさせられてしまいました。……その割には形兆のビジュアルが一番イマイチなのってどうなの? とは思いますが……。

 結局、この映画は私にはまだ早すぎたのかもしれません。もしかしたらもう一回観る か も。そしたらまた違った感想が生まれる……のか? ジョジョとは結構別物ですが、でも少なくとも原作へのリスペクトを感じますし、もしかしたら漫画よりもこの映画版の方が好きって言う人も出てくるかも知れない。っていうか、別物でありながらも原作への敬意をにじませるのって実はけっこう高度な技術なのかも、と感心してしまったり。
 とりあえず、迷っているくらいなら観た方が良いよ、と言えるくらいのレベルは充分にあります。

 

 ポケモンと実写ジョジョと難解な映画が続いて、なんだかちょっとおかしくなりそうな今年の夏です。